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*平田の名前の由来(日本地名ルーツ辞典)
島根半島西部に位置する農林・漁業の都市。市街地にあたる旧平田町は、『出雲国風土記』にみえる「沼田郷(ぬたのさと)」である。江戸時代の地誌『雲陽誌』によると、古来、沼田(湿田)であったが、郷民が排水施設をつくって水を排出し、水田に仕上げたので、「沼田」を「平田」に改めたという。また、A平田惣右衛門なるものが、戦国時代、新田を開発したので、その姓をとって平田と名づけたとの説もある。
*平田地域の登場する小説
平田町出身の絵本作家長谷川摂子は「人形の旅立ち」(昭和55)、「妹」(昭和56)「椿の庭」(昭和58)の3作に自分の少女期の思いを投影させ、平田を描いている。「低い山をひとつ越えれば日本海というわたしの故郷」の春を描いた「人形の旅立ち」には、宇美神社らしい氏神さんや、かつて平田の女児たちが歌った懐かしいまりつき唄、平田の方言が出てくる。「春の庭」には浄土としての北山が印象深く描かれている。
夏木静子「海に佇む人」(『駅に佇む人』)所収、昭和62刊)は短編ミステリー。一畑電車や一畑薬師が出てくる。松本清張『数の風景』(昭和62)は石見銀山をメインに浜田、出雲市、鳥取県西伯郡など山陰を舞台にした長編推理小説。この作品の冒頭で鰐淵寺、十六島湾、一畑寺が登場する。鰐淵寺の縁起に、平田の海浜信仰の存在を推定したり、十六島の語源について古代朝鮮語の「巨きな岩」説を紹介したりで、清張節が楽しめる。
内海隆一郎『百面相』(平成7)は百面相という珍しい芸をする芸人の物語。この芸人の娘婿・昇が小伊津出身の板前。「こい津」という小割烹を経営している。「海と山とにはさまれた狭い漁港。山の急斜面にへばりつくようにつらなる家々」という小伊津の描写がある。「帰郷」(『小説現代』平成7年10月号所収)は『百面相』の後日談の短編。昇が家族を連れて小伊津に帰郷する話で、小伊津の具体的な描写やアマダイの延縄漁などが紹介されている。 参考文献:『新山陰小説風土記』(小糠しのぶ) |